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飛輪海小説スピンオフ『Kiss Me Now !』Ep.4

              Ep.4 「リアルKISS」 

ジニー篇

 あれから一週間ほど、アタシと禹哲の間には、これといって何も起きなかった。二人きりになることも少なく、なってもたいてい禹哲は平然と仮眠をとっていた。アタシ一人が意識しちゃってるみたいでなんだかくやしい。

 この前のマンゴーキスはいったいなんだったんだろう。

 答えは二つに一つ。一つは単にマンゴーアイスを少しでも味わいたかったから。もう一つは最後の一個を食べてしまったアタシへの嫌がらせ。

 今日の仕事はMVの撮影だ。相手役のコはどうやら関係者の娘さんで、唐禹哲みたいな駆け出しのアーティストの相手役には不満があるらしい。そういうわけでのフェイクキス、つまりキスしたように見える演技を要求されている。

「ねえ、ちゃんと歯を磨いたんでしょうね?」

 禹哲は撮影前なのに余裕でゲームをしている。緊張感まるでなし。

「フェイクだろ? 磨く必要ないだろうが。それにお偉いさんの娘かなんだか知らないけどキス拒否って、何様だよ」

「バカ! シーッ! 聞こえたらどうすんのよ!」

「あ~っ! オマエのせいでゲームオーバーだ! うるさいんだよ、オマエの声のほうが!」

 結局、禹哲は歯も磨かずに撮影に入る。出会いのシーンと別れのシーンはロケで別撮りの為、今日は部屋のセットでの中盤のキスシーンのみの撮影だ。禹哲にとって、初のキスシーンだからか、アタシ一人落ち着かない。当の禹哲はマイペースに役を淡々とこなしていくのに、アタシはキスシーンが近づくにつれてなぜかイライラがつのる気がした。たかがフェイクのキスシーンに、あたしが動揺だなんてありえない。

 憧れてた小綜のドラマ撮影に同行したときでさえ、林依晨とのキスシーンには、ドキドキしてみとれてしまっただけだったのに・・・・・・。

 撮影監督が二人を呼び出し、次のシーンの説明をしている。その身振りの様子から、次のシーンがキスシーンだとわかった。禹哲の様子は相変わらずだけれど、ふと相手役のコの顔を見ると、少し蒸気している気がした。フェイクとはいえ、若い新人の女の子なのだから緊張するのはあたりまえだ。

「アクション!」

 監督の声で、そのフェイクキスのシーンが始まった。

 ソファで眠っている彼女に、近づく禹哲。気付いて目を覚ます彼女はキスを受け入れるように再び目を閉じる・・・・・・そこで覆いかぶさるようにしてキスをしようとする禹哲・・・・・・。

 アタシからの角度は二人の口元が丸見えの場所だ。ゆっくりと禹哲が彼女の唇に、自分の唇を近づけていく・・・・・・なんだか他人のプライベートなキスを覗き見している錯覚に陥る。すごくリアルでイヤな感じ・・・・・・。彼女の表情、まるで恋してるみたい。これって演技なの? 新人とは思えないくらい・・・・・・ふと禹哲が彼女のことを“けっこう可愛い”って言っていたことを思い出す。さらに嫌な予感がしたその時だった。すっと彼女は禹哲の首に腕をまわしたと思うと、二人の唇が重なり濃密なまでのキスを交わし始めた。禹哲もそのキスに確実に応えてる・・・・・・。

 アタシは目を逸らしてしまう。心臓に何かがつき刺さったように痛みが走った。

「カット!」

 二人はすぐには離れずに、3秒は続けていたような気がした。直視は出来ない・・・・・・。それから禹哲は「大丈夫?」と彼女を気づかうような言葉をかけてから戻ってきた。アタシは何事もなかったように「はい、コーヒー」と言って無表情に禹哲に手渡してからすぐに、相手の男性マネージャーのところに走っていった。

「すみません、予定と変わってしまって・・・・・・どうお詫びをしたらよいか・・・・・・」

「いやあ、あれはうちも同罪ですから気になさらないでください。いい雰囲気で撮影が進んだようで、気持ちがのったんでしょう。彼のリード、なかなかよかったですよ。一瞬だけでも恋しちゃいますよ、あれじゃあ、なあ?」

「いやだ、もう! 知らない!」

 相手役のコは真っ赤になって照れながらも、チラっと禹哲のいる方に視線を送った。当の禹哲は気にもしてないようで、アタシの痛む心は少し癒された。って何それ、そんなわけない! 関係ない、アタシがそんなこと! まるで嫉妬していたみたいじゃない! 

 帰りの車の中はBGMがひたすら流れているだけだった。話す心境になんてなれない。なぜかいつも助手席に座る禹哲が恨めしい。後ろに座ってくれればまだ楽なのに。

「いやに静かだな」

「・・・・・・アタシの声はうざくて聞きたくもないはずじゃあ?」

「いつもなら文句の一つも言うはずなのに、何も言わないのも気持ちわりいぞ」

「ご勝手に気持ち悪くなってて!」

「はは~ん」

「・・・・・・何よ」

「嫉妬だな?」

「はあ? バカじゃないの」

「演技のキスだぞ」

「そうは見えなかったけど!」

「あのコが勝手にその気になって押し付けてきただけだろ。俺の責任じゃない」

「舌絡めてたくせに言い逃れする気!」

 やだ、アタシ露骨なこと! 

「おい! 赤だぞ!」

 え!? とっさに急ブレーキを踏むと、アタシの体は勢いよく前に倒れこむ!

「バカ! シートベルトくらいちゃんと締めとけよ!!」

 気付くとアタシの体は禹哲の左腕に支えられ、そのおかげでハンドルに顔をぶつけずに済んでいた。

 ・・・・・・シートベルト締め忘れるなんて、アタシ、どうしちゃったんだろ・・・・・・。

「オマエは知らないだろうが俺のリアルキスはあんなもんじゃないぞ」

 禹哲は自分のシートベルトを外すとすぐさま、アタシのシートを倒しながら唇を押し付けてきた。ヤダ! 他のコとキスしたあとなんて!

 そう心では拒絶しながらも、アタシは体中に電流が走ったようで、呼吸も忘れて彼の唇を受け入れていた。

 切なくて、優しくて・・・・・・まるで愛されてるって錯覚しちゃいそうなキス・・・・・・。アタシは知ってる。このキス・・・・・・あの夜の身代わりキスと似てるもの・・・・・・。でも誰のことを思って・・・・・・キスしてるの? HIROだってわかってる・・・・・・。それでもやめられない・・・・禹哲・・・・・・・。

「禹哲・・・・・・」

 アタシの声にならない声をさえぎるようにキスは突然激しくなる。意識が朦朧としてきた・・・・・・何がどうなってるのかさえわからない。でもこれだけはわかってる。アタシはただ、求めてた。ずっとこんなキスを待ってたんだって。アタシはもう禹哲のキスの虜だ・・・・・・。誰を思っていてもいい。今、禹哲の本物のキスは、アタシだけのものなんだから!

 車のクラクションが鳴り響き、禹哲は唇を離す。呼吸はみだれ、すぐには目も開けられない。

「おい、発進しろよ。後ろ、うるさいから」

 いつも通りの禹哲の口調に、体中が醒めていく。

「う、うん・・・・・・」

 アタシはぐったりとした体を無理矢理シートと共に起こす。

 

 それからアタシたちはマンションに着くまで何も話さなかった。相変わらずのまるで何もなかったかのような禹哲の様子に、前の時よりも落胆している自分に気付く。

 そして着いてからも翌日のスケジュール確認を済ますと、禹哲はあっさりと車を降りていった。

 途端にせき切った様に涙があふれ出す。

 さっきまでのアタシの高揚感は、微塵もない。アタシは馬鹿だ。キスに溺れるなんて。自分をこんなに嫌悪したことはない。ホントは愛されてもないのにあんなこと・・・・・・。

 禹哲にとってはあれくらいのこと、なんでもないんだと、アタシは思い知らされた。アタシHIROの身代わりにも値しない、あの新人のコと同じ、単なる通過点に過ぎない女なんだと・・・・・・。

禹哲篇

 部屋に戻ってからも、蘇季妮(スー・ジィニイ)の泣き顔が頭にこびりついていた。あの時振り返りさえしなければアイツのあんな顔見ずに済んだのにな。

 アイツは根っからの芸能界好きだ。マネージャーという仕事を手放すくらいなら、好きでもない俺のキスでも受け入れるしかなかったんだろう。

 バカなことをした・・・・・・今さら気付かされた。アイツはそこらのカンタンな女じゃない。

「イテっ・・・・・・」

 冷蔵庫を開けた左腕に痛みが走った。くそ、さっきより痛みが増している。よりにもよって利き腕やっちまった。俺は缶ビールを取り出すと、仕方なく右手でタブを開けた。

 缶ビールを口にしながら、ふとキーボードの上に置きっぱなしになっていた楽譜が目に留まる。もうこの一ヶ月ほどは、作曲する気にもなれずそのまま適当に放置してあった。その楽譜がきちんと順番に並べ揃えられていた。いったい誰が? 俺以外にこの部屋に入ったのは考えるまでもなく蘇季妮ただ一人だ。

 なんでアイツ、バラバラになっていた楽譜を順番にできたんだ? まだ誰にもちゃんと見せたことも聞かせたこともないはずなのに・・・・・・。よく見ると、何箇所か手を加えたような音符がある。きっとこの部屋が薄暗かったせいで、俺が青いペンで楽譜を書いていることに気がつかなかったんだろう。アイツは黒のペンで書き加えていた。

 俺は施設育ちで、ちゃんとした音楽教育は受けていない。楽譜の書き方は独学の自己流だ。アイツはそれなりの家庭の娘なんだろう。ピアノか何かを習っていたに違いない。

 だけどまるでこの曲を知ってるかのように、きちんと訂正されている。どうしてだ?

「禹哲・・・・・・」アイツの声が頭の中でリフレインする。あの声を聞くと冷静でいられなかった。あの声を打ち消したくて仕方なかった・・・・・・。

 くそっ、もう考えるのはよそう。アイツのやることなすこと、俺の冷静さをかき乱す。だけどその反面、俺をホッとさせる気の置けなさが心地いいのも否定できないでいる・・・・・・。

ジニー篇

 ドアフォンが鳴った。ドアを開けると、そこには禹哲が立っていた。アタシのアパートを訪ねてくるなんて初めてのことだ。ただでさえ車でのことが気まずいのに・・・・・・。

「な、何? 急にどうし・・・・・・」

 左腕で抱き寄せられたかと思うと、アタシの唇はもう奪われていた。その激しさに耐えられないアタシの体をを禹哲のもう片腕が支え、アタシはそのままベッドに押し倒されていた。

「ジニー、もう自分の気持ちを抑えきれない・・・・・・俺にはオマエだけだ・・・・・・好きだ」

 嘘! 禹哲がアタシ「を好きだなんて・・・・・・そんなの信じられない!

「嘘じゃない。信じろよ」

 禹哲ったらアタシ「の心の中をこんなにもわかってくれてるなんて・・・・・・。でも・・・・・・でもHIROは?

「ヒロなんか過去のことだ。今の俺にはオマエだけしか見えない」

 禹哲は耳元でそう甘い声で囁いた。禹哲じゃないみたい・・・・・・。なんだかかえって怖くなる。とまどいの気持ちが胸の奥で渦巻く気がした。

 え!! 気付くといつの間にか禹哲は何も着ていない。いつの間に脱いだの? ここはベッドの上で、アタシの上にいる禹哲は裸で、でもまだ心の準備ができてない・・・・・・だってアタシは禹哲のこと、大嫌いなはずだし、こんなにもドキドキしちゃうけど、それはキスが上手だからってことだけで! それにこのシチュエーションなら誰だってドキドキしちゃうはずよね!?

「顔が赤いな・・・・・・可愛いよ、ジニー・・・・・・いいだろ?」

 禹哲のへんに甘い言葉になんだか寒気がしてきた。アタシの知ってる俺様キャラの禹哲はアタシにこんなこと言わない! 絶対に! 「もったいつけんなよ、減るもんじゃないし」くらい言ってのけるはずだ。え? 嘘! アタシも何も着てない!

「オマエのすべてが欲しいんだ・・・・・・」

 迫り来る裸の禹哲! やだ! こんなことありえない!! 絶対に!!!!

「あれ・・・・・・?」

 目をゆっくり開けると、そこには巨大なクマのぬいぐるみの顔が・・・・・・。去年の創立記念パーティーのビンゴ大会でもらったものだ。窓の外は明るくなっている。・・・・・・夢?

 ぬいぐるみ抱きしめて禹哲とのあんな夢を見ちゃうアタシって、相当どうかしてる。

 でも、唇が重なったときの感触、すごくリアルだった・・・・・・。 

 

 今日で11月も最後の日だ。今日は禹哲と会う仕事がないことに少しホッとする。車の中でのリアルキス以来、私たちの間には何事もない。もう禹哲はアタシをいじめることに飽きたのかもしれない。アタシが嫌がればこそ楽しめた無理矢理キスも、アタシが二度も受け入れてしまったことで、彼はきっと冷めてしまったにちがいない。

 これでよかったんだ、これで・・・・・・。それなのに、アタシはまたキスされることを待ちのぞんでるみたいだ。

 ううん、そんなはずない、そんなはず絶対にない!

 

                

禹哲篇

「ちゃんと来たな、弟!」

 背中を汪東城に思いっきり叩かれ、飲んでいた酒でむせる・・・・・・。カウンターのウィルバーはチャンスとばかりに厨房へ消えた。俺の経営に関する小言から解放されてホッとしてるにちがいない!

「・・・・・・まだ弟じゃないっつうの。姉貴の気が変わるかもしれないだろうが」

「それが婚約披露飲み会で言うセリフかよ。まあいい、来てくれたんだからな」

 普通はパーティーだろうが。飲み会程度の店で悪かったな。そこらのホテルよりは旨いものを出してるつもりだ。

「仕方ないだろ、姉貴の頼みだからな。だけどなんで今さら婚約披露だよ、しかも今日急にメールで召集って」

「式の当日来られないヤツもいるだろ? ここなら気軽に集まれるしな。・・・・・・おまえ一人で来たのか?」

「悪いか」

「いいや。多分一人だろうと思ってたさ。まだヒロから立ち直れてないって噂だからな」

 汪東城は少し出来上がっているのか、なれなれしく俺の肩に腕をまわしてきた。俺の左腕に痛みが走る。

「うるさい。いてもこんなところに連れてくるか!」

 俺は痛みをこらえて何気に汪東城の腕を振り払った。

「亞綸は莉莉と来てるぞ」

「あいつらはとっくに公認だろうが」

「亦儒は阿明とあっちにいるぞ」

「問題外だ」

 そこへ新たに誰かが店内に入ってきた。よく見るとそれは鄭元暢だ。

「小綜! 来てくれて嬉しいよ。忙しいのにありがとう」

「大東、おめでとう! 結婚式に出席できないのが残念だよ。悪いな本当に」

 鄭元暢は来月、入隊が決まっている。一年はおさらばだ。

「今夜来てくれただけで充分さ。あ・・・・・・誰だよ、紹介してくれよ小綜」

 どうやら鄭元暢は女連れのようだ。俺は恋愛禁止でもあいつはいいのか? いったいどんな女と付き合ってるんだ? 汪東城の体が邪魔で顔が見えない。最近余計な筋肉つけすぎだぞ! 

「あ! ジニー! あれ? 今夜は小綜と一緒なんだ?」

 俺より先に炎亞綸が声をあげる。ジニーだって? ジニーってまさか鶏女? 蘇季妮のことか!?

 思わずスツールから降りて、俺はその女の顔を見る。そこにはまぎれもなく鶏女の顔があった。いつもよりちゃんとメイクして、俺の前では着たこともない、そんな服持ってたのかよっていうキレイめファッションに身を包んだ鶏女がちょっと照れたような表情で鄭元暢の隣に立っている。

「阿布は知り合いみたいだね。大東は覚えてないかな? ボクの前の付き人だった蘇季妮だよ」

 鄭元暢はそう言いながら、なにげなく鶏女の腰に腕をまわした。そのなにげなさになぜか苛立つ。

「ああ! ドラマの現場で何度かみかけたよ。・・・・・・あれ? キミ最近どっかで会わなかった?」

「ええ。あの・・・・・・このビルの階段で・・・・・・」

「ああっ! ぶつかって落ちそうになった子だ!」

「あのときは助けていただいてありがとうございました!」

 そんなことがあったのか? あ、莉莉の部屋に俺を迎えに来た朝か。

「それで、今、二人は付き合ってるのか?」

 んなわけないだろ、汪東城! 

「実はそうなんだ」

「ええっ!」

 鄭元暢のカミングアウトに思わず俺は声をあげてしまった。しかも顔を真っ赤にした鶏女と、亞綸の三人同時にだ。そして鄭元暢が大声で笑い出す。

「冗談、冗談! 連れがいないのも寂しいから、ちょうど事務所でタイミングよく会ったジニーを誘ったんだよ」

「びっくりさせないでよ小綜! でもボクより驚いてたのは禹哲だけどさ。ね! 禹哲」

「う、うるさいぞ、炎亞綸! 俺のマネージャーが看板スターとスキャンダル起こしたら大問題だろうが! それだけのことだ!」

「キミ、禹哲のマネージャーなのか。扱いが大変だろうけどこれからもオレの義弟をよろしくな、ジニー」

「は、はい! 本当に扱いが大変だけどがんばります!」

 汪東城と鶏女の言葉に周りが大笑いする。どういう意味だ! ここに鶏女を連れてきた鄭元暢を恨まずにはいられない。

「そんな怖い顔しないの! お祝いの場なんだから」

 鶏女が小声で俺をたしなめると、俺が言い返す前に亞綸に呼ばれて行ってしまった。聞けよ鶏女!

「いい子だよな、ジニーは」

 鄭元暢が俺に話しかけてきた。

「・・・・・・そうですか?」

「今度、ボクのマネージャーになってもらおうかな、兵役から戻ったら」

「は? や、やめたほうがいいですよ、やること雑だし、うるさいし・・・・・・それに・・・・・・」

「これも冗談、冗談! 手放したくないならちゃんと捕まえておかないと、ボクがほっておかないけどな」

 何を言ってるんだ、この男。どういう意味だ? おい! ・・・・・・と俺が鄭元暢に詰め寄りかけた時だった。店内のBGMが急に止まり、ハッピーバースデーの曲が流れ始めた。ステージにライトが集まると“亦儒&亞綸生日快樂”と書いてあるでかいケーキを載せたワゴンを姉貴と莉莉が押してステージに現れた。事情を察した招待客たちはすぐさま声を合わせて歌い始めた。

「サプラーイズ! 亦儒、亞綸! 早くステージに上がれよ!」

 汪東城が二人を手招きすると、陳奕儒は満面の笑みで、亞綸は照れくさそうにステージに上がる。

 そういえば陳奕儒は誕生日に3年遅れのハネムーンへ行っていたんだったな。亞綸は今年もバースデーライブをやったせいで、身内ではちゃんと誕生祝いをやっていないと莉莉が言っていた。

「二人とも、今夜はオレたちの婚約披露会に来てくれてサンキュ。今日が誕生月最後の日だ。遅くなったけど、兄弟、ハッピーバースデー!」

 おい、やることが大げさだし寒いぞ汪東城。おかげで鄭元暢に真意を聞き損ねたじゃないか! 

 俺はまた一人、カウンターで飲み続ける。楽しげに鄭元暢に寄り添う鶏女を尻目に・・・・・・。

                    Ep.5「ヤキモチKISS」へつづく・・・・・・

目次と登場人物~Kiss Me Now !

目次と登場人物~ヒロ&アミン篇

目次と登場人物~大東&亞綸篇

目次と登場人物~SP

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